学歴をテーマにしたYouTubeチャンネル「wakatte.tv」が、福島大学を訪れた動画内での発言をめぐって炎上しています。
問題となったのは、福島大学の学生が同大学の特色として放射能研究を紹介した場面です。
出演者の高田ふーみんさんは、放射能や原子力が重要な問題だとしたうえで、
「福島大には触らせたくない」
と発言しました。
この部分がSNSで拡散され、福島大学の学生や研究活動を侮辱しているのではないかとして批判が拡大。9月1日には福島大学が佐野孝治学長名で声明を発表し、その後wakatte.tv側も謝罪して動画を削除しました。
最初に現在までの流れを整理すると、次のようになります。
| 時点 | 起きたこと |
|---|---|
| 8月末 | 福島大学のキャンパス調査動画を公開 |
| 動画内 | 放射能研究について「福島大には触らせたくない」と発言 |
| その後 | SNSで該当部分が拡散・批判が拡大 |
| 8月31日まで | 動画を一度非公開にし、注意テロップを入れて再公開 |
| 9月1日 | 福島大学が学長名で声明 |
| 同日 | 動画が視聴できない状態に |
| 9月1日夕方 | wakatte.tvが謝罪し、動画削除を表明 |
なお、福島大学は声明の中でwakatte.tvや出演者を名指ししていません。また、特定個人への誹謗中傷を行わないよう呼びかけています。
wakatte.tvは何を言った?
問題となった動画は、福島大学のキャンパスを訪れ、学生へのインタビューを通じて入試や大学生活などを紹介する内容でした。
その中で出演した学生が、おすすめの研究分野について、
「放射能はやっぱり福島ならでは」
という趣旨で説明。
それを受け、高田ふーみんさんは放射能や原子力がエネルギーに関わる重要なテーマだと話した後、
「福島大には触らせたくない」
と発言しました。
wakatte.tvでは大学の難易度や学歴を強く誇張していじる演出が以前から使われています。
今回の発言もその文脈で出たものとみられますが、この一言が切り取られて広く拡散されました。
なぜ今回はここまで炎上した?
wakatte.tvは以前から学歴を題材にした過激な発言でたびたび議論になっています。
それでも今回の炎上が特に大きくなった理由は、単純な「大学の偏差値いじり」だけでは説明しにくい部分があります。
大きく分けると3つあります。
1.福島第一原発事故と直接関係する研究だった
問題となったのは、単なる大学の授業ではなく原子力災害や環境放射能に関する研究です。
福島大学は東京電力福島第一原子力発電所事故を受け、2013年7月に環境放射能研究所(IER)を設立しました。
研究所では森林・河川・湖沼・海洋などにおける放射性物質の動きや環境への影響について研究しています。国内外の大学・研究機関とも連携している専門的な研究拠点です。
つまり学生が語った「福島ならでは」という言葉は、福島という地域が経験した原発事故と向き合うために長年続けられている研究活動を指していました。
その直後に「福島大には触らせたくない」という返答があったため、単なる大学いじりを超えて、被災地で行われてきた研究そのものを軽視しているように受け取られたわけです。
2.大学ではなく、そこで研究する学生や教職員にも向けられた言葉に見えた
大学名をネタにするだけなら、
「学歴ネタのYouTubeだから」
と受け止める人もいるでしょう。
しかし今回は、実際に研究内容を説明している学生に対する返答として出ています。
福島大学も9月1日の声明で、問題を単なる大学への批判としてではなく、
学生と教育研究活動に関わる問題
として扱っています。
大学は、原子力災害や環境放射能の研究を「重要な研究活動」と位置付けたうえで、そこへ真摯に取り組む学生・教職員の尊厳が傷つけられることがあってはならないと表明しました。
福島大学は実際にどんな放射能研究をしている?
今回の騒動を理解するなら、ここは知っておいた方がよい部分です。
福島大学環境放射能研究所は、2013年7月1日に設立されています。
目的は、原発事故によって環境へ放出された放射性物質が、
- 森林
- 河川
- 湖沼
- 海洋
- 生態系
などでどのように移動し、どのような影響を与えるのかを科学的に調べることです。
現在は5部門15分野を横断する研究を行い、筑波大学、東京海洋大学、広島大学、長崎大学、福島県立医科大学などとも共同研究を実施しています。
研究成果は単に論文を書くためだけのものではありません。
例えば、
- 放射線量がどう変化するか
- 動植物へ放射性物質がどの程度取り込まれるか
- 食品や環境の安全性
- 農林水産業への影響
- 福島の長期的な復興
などにも関係しています。
その意味では、学生が動画で話していた「福島ならでは」という説明は、実際の大学の研究方針とも一致しています。
福島大学は何と声明を出した?
2026年9月1日、福島大学は公式サイトに、
「本学を取り上げたインターネット動画について」
という佐野孝治学長名の声明を掲載しました。
大学は、学生や教育研究活動について「配慮を欠くと受け取られかねない発言」が確認されたと説明。
さらに、福島大学が震災・原発事故以降、地域や国内外の研究機関と連携して復興や地域課題に取り組んできたことを説明しています。
特に環境放射能研究については、福島の経験を科学的に検証し、その成果を国内外へ還元する重要な活動だと強調しました。
大学がYouTube動画について学長名で公式声明を出したことで、騒動はさらに大きく報じられることになりました。
福島大学はwakatte.tvを名指しした?
していません。
福島大学の声明には、
- wakatte.tv
- 高田ふーみん
- びーやま
などの名前は登場しません。
「本学を取り上げたインターネット上の動画」という表現にとどめています。
その一方で、声明の最後では、
特定の個人に対する誹謗中傷や不適切な言動を行わないように
とも呼びかけています。
つまり大学側は、研究や学生の尊厳は守る一方で、この問題を理由に出演者へ誹謗中傷することも望んでいません。
最初は注意書きを追加して再公開していた
炎上後、動画は一度視聴できない状態になりました。
その後、8月31日には注意テロップを追加した状態で再公開されています。
テロップでは、発言について、
- チャンネルのテーマである大学難易度や就職状況の文脈だった
- 震災や原発事故の被害を揶揄する意図はない
- 福島大学での研究や学びを揶揄する意図もない
という趣旨の説明が加えられていました。
ただ、この時点では明確な謝罪文という形ではありませんでした。
その後、福島大学の声明が出され、動画は再び視聴できない状態になります。
その後wakatte.tvは謝罪
9月1日夕方には、高田ふーみんさんが自身のXを更新し、wakatte.tvとして正式に謝罪しました。
謝罪では、震災や原発事故を揶揄・差別する意図はなかったと説明したうえで、
福島大学で原子力を学ぶ意義や経緯、研究する学生への配慮が「決定的に不足していた」
としています。
さらに、
当該動画を削除する
ことも表明しました。
つまり最終的には、
注意書きを追加して再公開
↓
福島大学が声明
↓
動画削除
↓
wakatte.tvが謝罪
という流れになっています。
「意図はなかった」で終わらなかったのが今回のポイント
今回の対応を見ると、最初の説明と最終的な謝罪には少し違いがあります。
最初の注意テロップは、
「揶揄する意図はない」
という説明が中心でした。
一方、最終的な謝罪では、
意図とは別に、研究の背景や学生への配慮が不足していた
ことを認めています。
ここは今回の騒動を見るうえで重要だと思います。
発言する側に侮辱する意図がなかったとしても、相手が取り組んでいる研究やその背景を十分理解せずに扱えば、結果として別の意味で伝わることがあります。
今回wakatte.tv側も、最終的にはその点について謝罪した形です。
「原発事故をネタにした」のか?
ここも誤解しない方がよい部分です。
確認できる発言を見る限り、高田ふーみんさんが、
「原発事故そのものを笑いものにした」
と直接言える内容ではありません。
本人側も、震災や原発事故を揶揄・差別する意図はなかったと説明しています。
問題になったのは、
福島大学が放射能・原子力を研究することを大学の学力イメージと結びつけて否定的に扱ったように見えたこと
です。
したがって、
「震災を直接ネタにして笑った」
と表現するより、
被災地の大学で行われる原子力・環境放射能研究への配慮を欠いた発言が問題視された
と整理する方が正確です。
なぜ「いつもの学歴いじり」では済まなかった?
wakatte.tvは、出演者があえて極端な学歴至上主義者として振る舞い、それをエンタメとして見せるスタイルで知られています。
そのため普段なら、
「また大学をいじっている」
と受け取られる発言もあります。
しかし今回、学生が話していたのは偏差値や就職実績ではありません。
福島第一原発事故後に大学が実際に担ってきた研究です。
ここへいつもの「大学ランク」のノリをそのまま重ねた結果、
大学の学力をいじる
↓
研究能力をいじる
↓
被災地で続けられてきた研究や学生まで軽視しているように見える
という形で意味が広がってしまいました。
これが今回の炎上が通常の「学歴いじり論争」以上に拡大した大きな理由だと考えられます。
最近もwakatte.tvへの批判は起きていた
今回の騒動以前にも、2026年8月には大学教員からwakatte.tvの学歴いじりについて批判が出ていました。
九州大学大学院の岡﨑晴輝教授が、大学の入学難易度を基準として学生をからかうコンテンツを問題視し、SNS上で議論になっています。
そのため今回の福島大学の件は、完全に独立した一度きりの騒動というより、wakatte.tvの「学歴いじりをエンタメとしてどこまで許容できるか」という議論が続いていた中で起きた炎上でもあります。
ただし福島大学の声明は、この過去の議論には触れていません。
動画は現在見られる?
9月1日夕方時点では、問題となった動画は削除されることがwakatte.tv側から表明されています。
そのため現在は、YouTube上の元動画を通常通り視聴することはできない状態です。
SNSには該当部分を切り取った画像や動画なども残っていますが、切り抜きは前後の文脈が失われる可能性があります。
今回の内容を確認する場合は、
- 福島大学の公式声明
- wakatte.tv側の謝罪
- 複数の報道
を合わせて見る方がよいでしょう。
この炎上で確定していること・していないこと
炎上ネタは情報が混ざりやすいので、分けておきます。
確認できていること
- 福島大学を取り上げた動画が公開された
- 学生が放射能研究を紹介した
- 高田ふーみんが「福島大には触らせたくない」と発言した
- SNSで批判が広がった
- 注意テロップを入れた版が再公開された
- 福島大学が9月1日に声明を出した
- wakatte.tv側が謝罪した
- 問題動画の削除を表明した
公式には確認できないこと
- 福島大学がwakatte.tvを名指しで抗議した
- 福島大学が法的措置を発表した
- YouTubeが動画を強制削除した
- チャンネル閉鎖が決まった
- 出演者が活動休止する
- 福島大学が謝罪金などを要求している
少なくとも9月1日時点で、これらは福島大学やwakatte.tvから発表された事実ではありません。
wakatte.tvの福島大学炎上についてよくある疑問
何を言って炎上した?
福島大学の学生が放射能研究を大学の特徴として説明した際、高田ふーみんさんが「福島大には触らせたくない」と発言しました。
福島大学は怒った?
福島大学は9月1日、学長名で公式声明を発表しました。
ただしwakatte.tvを直接名指しして批判する表現は使っていません。
wakatte.tvは謝罪した?
謝罪しています。
福島大学の研究や学生への配慮が決定的に不足していたとし、当該動画を削除すると表明しました。
動画は削除された?
wakatte.tv側が削除すると発表しています。
福島大学は本当に放射能の研究をしている?
しています。
2013年に環境放射能研究所を設立し、環境中の放射性物質の動態や影響について研究しています。
福島大学は法的措置を取る?
9月1日時点で、法的措置を取るという発表は確認できません。
チャンネルはなくなる?
そのような発表はありません。
まとめ|「学歴いじり」の枠を超えて研究背景への配慮が問われた
今回のwakatte.tv炎上を整理すると、
- 福島大学を紹介する動画を公開
- 学生が放射能研究について説明
- 「福島大には触らせたくない」と発言
- SNSで批判が拡大
- 注意テロップを追加して再公開
- 福島大学が学長名で声明
- wakatte.tvが謝罪
- 動画削除を表明
という流れです。
今回特に重要なのは、福島大学の放射能研究が単なる大学の専門分野の一つではないことです。
同大学は福島第一原発事故を受け、2013年に環境放射能研究所を設置。
10年以上にわたり国内外の研究機関と連携しながら、環境中の放射性物質やその影響について研究してきました。
その背景があるため、いつもの「大学の学力いじり」の延長で出たとしても、今回の発言は学生や研究者が積み重ねてきた研究そのものを軽く扱っているように受け止められたと考えると、なぜこれほど大きな炎上になったのか理解しやすくなります。
一方、福島大学自身も特定個人への誹謗中傷を控えるよう求めています。
発言を批判することと、出演者個人へ中傷を行うことも分けて考える必要があるでしょう。
編集メモ
wakatte.tvはもともと「極端な学歴至上主義を演じる」という前提があるので、普段の大学いじりなら、その設定を知って見る人と不快に感じる人で評価が分かれる余地があります。
ただ今回は、調べてみると福島大学が原発事故から2年後の2013年には専門研究所を設置し、現在まで継続して研究している分野でした。
そこまで背景を知ると、「福島大には触らせたくない」という一言が、単に偏差値をいじっただけでは済まなくなった理由はかなり分かりやすいです。
個人的には今回のポイントは、「炎上する言葉を言ったか」だけではなく、エンタメとして大学をいじるとき、相手が積み重ねてきた研究や地域の背景まで同じノリで扱ってよいのかというところにあると思います。
一方で、大学自身が誹謗中傷を控えるよう求めている以上、批判する側も個人攻撃へ変わらないようにする必要があります。
※本記事は2026年9月1日時点で、福島大学公式発表、wakatte.tv側の謝罪および各報道から確認できる情報をもとにしています。

